海の見えない街より愛をこめて

好きって絶望だよね

2010年代メンヘラカルチャーと現代(2023-04-17)

※noteにて過去に執筆した記事の移行です。

 

※本記事は自傷行為・自殺を推奨するものではありません。該当する話題に便乗して伸びようとしているわけでもないことをご理解ください。メンタルヘルス自死の話題を扱うので精神が不安定な方は直ちにブラウザバックしてください。不安や希死念慮を感じている方は周りの方や機関に相談してください。本当にこの記事に書いてあることを実行したり真似しようとしたりしないでね。

 

2023年4月14日夜、Twitterのトレンドに自殺動画があがった。私はフォロイーのRTで該当する動画を見かけたが激しい抑うつに襲われて拡散元のアカウントをブロックした。
落ち着きを取り戻し、目を背けてはいけない、と自分に言い聞かせながら拡散元のアカウントを見に行ったら凍結されていた。トレンドの関連ワードを見ていたら画面録画して再ツイートしているユーザーがいて本当に悪趣味だと思った。本当に最悪。
再ツイートされた動画にいた女子高生2人のうち、左側の女の子は今からすることに対する決意を決めていて、右側の女の子はとても怖がっているように見えた。
「せーの」と二人で言って飛び降りる女子高生2人。
数秒後にはバン、という音が聞こえてきた。人間2人が落ちた音とは思えなかった。人間が落ちる音ってこんなにも軽い音なんだ、と怖くなった。
さっきまで動画に写っていた人間がこの瞬間にはいない、という事実がとても怖かった。
他の方のツイートを見ると、「私たち幸せになれるかな」と言っていたらしい。死んだら終わりなんだよ。幸せにはなれないんだよ。悲しいけれど。

 

数時間前に見た動画の記憶を頼りにこれを書いている。正直もう二度と見たくない。この記事を見て気になっても見ない・調べない方がいいです。不安定な人は引きずられると思う。
私は最初は自殺配信で人々の印象に残って伝説になりたかった子たちかな、と思ったけれど、自殺への引き金となった人間がいた。その人はyoutuberで謝罪文も出していた。謝罪文を見た感想はここでは割愛する。


女の子はそのyoutuberに後悔させたかったのか復讐したかったのかはわからない。
後悔させたいにしろ復讐したいにしろそれ以外にしろ、自死以外の方法を考えることはできなかったのかな、と思った。
元々メンタルが弱くて自室で死ぬことばかり考えていたらしく、そのyoutuberに生きる希望を見出していたらしい。
死んだらそこで終わりだし死ぬこと自体は何も生まないことに気づいてほしかった。
自殺配信した結果生んだものはyoutuberの薄っぺらい謝罪文と何もわかっていないインターネットの人間による「エモい」というクソみたいな称賛だったのに。

 

私は「生きていればそのうちいいことあるよ」って言葉が嫌いだ。
希死念慮を感じているときに言われると「そんなわけない」と思ってしまう。
自死を考えたことは数回ある。でもその数回の後には必ず小さなことでも嬉しいことが起こっていた。
「そのうちいいことあるよ」は間違いではないのだ。その言葉を素直に受け入れられて踏みとどまれる人間は少ないと思うけれど。

 

本題に戻る。

私は2010年代に自死を選んでいった方々のブログやTwitterのログを見るのが好きだ。
(はるしにゃんに対する知識はほぼないので、はるしにゃんのことを知りたい方は岩倉文也さんのnoteをご覧ください)

私は2019年辺りからしかきちんとした意志をもったインターネットをしていないので当時のメンヘラ神やろろちゃんのことは知らない。
でもインターネットに生きていた彼女たちのツイートやブログは、明るくて軽快だった。
数日おきにガチで自殺を仄めかしたりしていない。精神を病みながらも毎日を生きていた。(メンヘラ神のかつてのツイートのログは 電子の海に揺蕩うメンヘラ神 より)

 

メンヘラ神のツイート群は軽快なのに比べ、ろろちゃんのツイート群は愚痴や悪口らしきものが多かったけれど、リアルな女子中学生だと思った。
私はろろちゃんの配信内容について知らなかったけれど、Yahoo!知恵袋に当時のろろちゃんのことを知る人が回答している質問があった。

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13117417438

 

2013年は恐らく今ほどメンタルヘルスに理解があるわけでもなく、死にたがっている人は奇人変人扱いされて疎まれる時代だったと思う。
今生きていたら24歳らしい。生きていたら案外穏やかに過ごしていたかもしれない。
でも知恵袋で読んだろろちゃんの状況を見たらとても我慢して生きろとは言えない。我慢して生きてと言うことも死を肯定することもできなかったと思う。

 

""自殺配信を遂げることで、すべてを終わらせ、 伝説の人、有名人になるという欲求に昇華したのが、彼女が死を目指した理由です""
知恵袋のベストアンサーにあったこの文章がずっと引っかかっている。
自殺配信を遂げてすべてを終わらせることはできたかもしれない。伝説にも有名人にもなれたかもしれない。死後数週間は死んだこと自体をコンテンツとしてインターネットで消化されていたらしいし、ろろちゃんは本当にこれを望んでいたのだろうか。
""ろろちゃんというネットアイドル""の自分をコンテンツにはしたかったと思う。でも、""女子中学生が自殺配信をして飛び降りた""ことをコンテンツにされるのは不本意だったと思う。
14日夜に流れた動画もそう。みんな女の子2人が自殺配信をしたことがエモいと盛り上がっていた。

 

ろろちゃんははるかぜちゃんこと春名風花さんになりたがっていた。ろろちゃんの死後、春名風花さんはろろちゃんをフォローして相互フォローになっている。ろろちゃんが生きていれば春名風花さんとろろちゃんが話せた未来もあったかもしれない。

https://x.com/harukazechan/status/1229589611120218112?s=46&t=qF4yu0yLsWj43Ivc5kgIfg

 

ろろちゃんの死から7年経っても春名風花さんはろろちゃんを救えなかったことを悔やんでいた。ろろちゃんはみんなの記憶に刻まれているけど、それだけ救えなかった悔しさを抱えられていることも忘れてはいけない。

 

神聖かまってちゃんのるるちゃんの自殺配信はろろちゃんのことをきちんと正しい形で作品にしていてよかった。
コメント欄の人たちもみんな優しい。
””死にたくなってこの曲を聞く度、ルルちゃんが自分のかわりに電車に飛び込んだりビルから飛び降りたりしてくれる。 視聴者の死にたいって気持ちが無くなるようにルルちゃんがあやしてくれてるみたい。”” というコメントがすき。みんなでるるちゃん(ろろちゃん)の分まで生きていこうね。

 

まいりのろろちゃんのページを見たらねこのぬいぐるみがお供えされていて泣きそうになってしまった。

 

メンヘラ神の話をする。私はメンヘラ神が大好きだ。
「みなさま、よき倫理を!」のツイートの彼女である。
彼女のブログは本当に良い。
私がいちばん好きなブログエントリを貼っておく。

https://kasuusagi.hatenablog.com/entry/2013/05/14/233515

 

宗教は救いにならない 自殺も救いにならない 愛だって救いにはならない 人を救えるのは常に人だ

 

でも彼女は自死を選んでしまった、救いにならないのに。

 

ブログのエントリや電子の海に揺蕩うメンヘラ神のログを見る限り、彼女は底抜けに明るいし面白いし頭がいい人間だったと思う。
メンヘラ神のTwitterのログが1ツイートを残して消される前はツイートのメディア欄にリスカ画像があったらしいけれども。
もっと生きてもっとブログを書いてほしかった。彼女がまだ生きていたら私にとっての生きる希望の1つだったと思う。

 

先程言及した、岩倉文也さんのnoteに私が言いたかったことが短く纏められていた。
"いま思い返してみると、2010年代前半に「メンヘラ」と呼ばれていた、あるいは自称していた人たちは、病んでいるにも関わらず、底抜けに明るかった。明るいというより、ポップだった。"

 

今の「メンヘラ」と呼ばれている、あるいは自称している人たちのコミュニティや個人に見られる特徴はなんだろうか。
TwitterにいるメンヘラたちはリストカットやODを仄めかす写真をツイートし、その中には13~14歳の中学生も混ざっている。
メンヘラと呼ばれる人々の「自分自身ではなくメンタルヘルス自体のコンテンツ化」が見られる。
コロナ禍に巻き込まれた上にお金もなくて娯楽もない、散々である。
お金もなくて娯楽もない若者に残された少しの娯楽は未成年飲酒とリストカットオーバードーズくらいだろう。
良くないことに走る中高生が100%悪なのではなく、若者の娯楽が少なくならざるを得なくなっている社会も悪なのだと思う。

 

私はNEEDY GIRL OVERDOSEが大好きなのだが、「ニディガがきっかけでODを始めました!」という中高生を見て悲しくなった。
ゲーム起動時に表示される、インターネット・エンジェルとのお約束を彼女らは読んでいなかったのだろうか。
読んでいなかったとしてもきちんとあのゲームをプレイしていればにゃるら氏や超てんちゃん(あめちゃん)の伝えたかったことは伝わるはずだと思った。
私は超てんちゃんのことをろろちゃんやメンヘラ神側のメンヘラだと思っている。だから私は作品のことも超てんちゃん(あめちゃん)のことも好きだ。

 

みなさんがコンテンツとするべきものは、メンタルヘルスではなく、自分自身だ。
ろろちゃんもメンヘラ神もメンタルヘルスをコンテンツとしたことで記憶に残り続けているわけではないことを忘れないでほしい。
超てんちゃんはコンテンツのために自殺を選ぶことはなかった。絶望ゆえの自殺配信だったのだから。

f:id:nerinerunalapis:20231110045452j:image